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USMLE(United state Medical License Examination)part2

 前回のつづきです。まずは問題を解いてみてください。制限時間は5分。

Question1
A 6-month-old black infant presents with low-grade fever and acute onset of painful swelling of the hands and feet. Radiographs taken at the onset of symptoms reveal soft tissue swelling, and the peripheral smear is shown below. The findings in this infant most likely correlate with
 
(A) deficiency of glucose-6-phosphate dehydrogenase (G6PD)
(B) Salmonella osteomyelitis
(C) a decrease in hemoglobin F (Hgb F) concentration
(D) a coxackievirus infection
(E) a deletion of a chromosome
 
Question2-5
A 3-year-old boy with growth retardation has a long history of recurrent pneumonia and chronic diarrhea. His mother states that he has six to eight foul-smelling stools per day. Physical examination reveals a low-grade fever, scattered rhonchi lung base and dullness on percussion, mild hepatomegaly, and slight pitting edema of the lower legs. Preliminary laboratory data are as follows:
 
Hemoglobin: 7.5g/dl
WBC count: 18,000cells/mm3, with neutrophilic leukocytosis and 15% bands; occasion hypersegmented neutrophilsMean corpuscular volume: 90μm3Red blood cells: Dimorphic population with both microcytic and macrocytic cells
 
Serum albumin: 2.5g/dl
Serum calcium: 7.0mg/dl
Serum phosphorus: 4.0mg/dl
Serum sodium: 138mEq/L
Serum chloride: 112mEq/L
Serum potassium: 3.2mEq/L
Serum bicarbonate: 18mEq/L
Serum alkaline phosphatase: 300U/L
Serum SGOT: 115U/L
Serum SGPT: 125U/L
Total bilirubin: 0.9mg/dl
Urine pH: 5
Urine dipstick protein: Negative
Chest x-ray: Left lower lobe consolidation; generalized osteopenia
 
Question2
The most appropriate step in arriving at the primary diagnosis would be to order
(A) a plasma growth hormone assay
(B) a complete skeletal survey
(C) a sweat chloride test
(D) endoscopy of the upper gastrointestinal tract
(E) acute viral serologies
 
Question3
Which additional laboratory test would be LEAST indicated at this stage in the patient’s workup?
(A) Serum iron, total iron-binding capacity, percent saturation
(B) Serum B12 and folate levels
(C) Bone marrow aspiration and biopsy
(D) Quantitative stool for fat
(E) Sputum for Gram stain, culture, and sensitivity
 
Question4
The primary disease most likely responsible for this patient’s clinical findings is
(A) celiac disease
(B) chronic granulomatous disease (CGD) of childhood
(C) Bruton’s agammaglobulinemia
(D) cystic fibrosis
(E) nephritic syndrome
 
Question5
All of the following secondary diagnoses are present in this patient EXCEPT
(A) combined iron and folate deficiency
(B) left lower lobe pneumonia
(C) malabsorption
(D) viral hepatitis
(E) vitamin-D deficiency

 いかがでしたでしょうか。まず何の疾患についての問題なのか理解できたでしょうか。Question1は授業でやったことがあるかもしれませんが、Question2から5は何のことだかわからない人が多いのではないでしょうか。
 問題に取り上げられているいずれの疾患も、日本ではまずお目にかかれない疾患です。よって、日本の医学部の授業で触れることもほとんどないと思われます。
 しかし、米国ではこれらの疾患は日常でもそれなりの頻度で目にするものです。
 その逆のことも言えるような疾患もあります。つまり、日本では多いけれど、米国ではほとんど見られないような疾患のことです。たとえば、胃癌やウイルス性の肝硬変・肝癌などがこれにあたります。
 USMLEの受験を考えている方は、日本で習っていない疾患を一から学習する必要があります。日本の医師国家試験の知識のみで受験をしてもまず受からないと思います。必ずそれなりの対策をたててから臨んでください。
それでは、問題の解説に移ります。
 
Question1
診断は容易だったのではないでしょうか。末血像からこの患者の診断は鎌状赤血球症(sickle cell disease)です。ただ、診断できたからといって果たして答えを選択できたでしょうか。大学の授業でも鎌状赤血球症は触れたとは思いますが、おそらくその知識だけではこの問題は解けなかったのではないでしょうか。
USMLEをパスするための鎌状赤血球症に関してのポイントを簡単にまとめます。
 
● ヘモグロビンβ鎖のC末端から6番目の Glu が Val に変換したことによる異常ヘモグロビン症
● 黒人に主に発生する異常ヘモグロビン症である(日本人にはまず発生しない)
● HbS分子が連結して束となって内側から赤血球膜を変形するために鎌状となる
● 症状発生は4ヶ月から12ヶ月の間に起こりやすい。なぜならばこの時期から鎌状赤血球に対して保護効果をつかさどっていたHbFがなくなってくるからである
● 酸素分圧が低下すると鎌状に変形し、微小血管を通過しにくく、貪食細胞から攻撃されやすくなるため、 次のような症状を呈する
・ 微小梗塞 microscopic infarction
  微小血流閉塞による疼痛発作、梗塞、諸臓器の機能障害
  特に四肢末端炎は最も頻度が高く初期症状となる
・ 溶血性貧血
  鎌状赤血球は脾臓で破壊されて溶血性貧血を起こす
● サルモネラ骨髄炎は非常に頻度の高い合併症であるが、1歳を過ぎてからがほとんどである。これは脾梗塞による免疫力低下が原因である
● 治療は対症療法のみ
 
よってこれらをふまえると、正解はCとなります。
 
Question2-5
この設問はおそらくはほとんどの学生はお手上げ状態であったのではないでしょうか。この疾患についての詳細はまず授業で触れることはないと思います。
最初に診断名をいうと、この疾患は嚢胞性線維症(cystic fibrosis)です。日本では20例くらいの報告がある非常にまれな疾患です。まず日常的にお目にかかれる疾患ではありません。しかし、米国では度々目にするものですので、試験にも頻出しています。
USMLEをパスするためのcystic fibrosisに関してのポイントを簡単にまとめます。
 
原因)7番目の染色体に原因遺伝子があり、 cystic fibrosis transmembrane conductance regulator , CFTRタンパクをコードしている。このタンパクはcAMP依存性タンパクリン酸化酵素により調節を受けるクロールイオンチャネルであり、上皮細胞の管腔側に分布する。
常染色体劣性遺伝病とされる。
 
病態)クロールイオンが細胞膜を通過しないので、水も細胞膜を通過しない。これにより全身の外分泌腺を傷害する 。汗中のクロールイオン上昇が特徴であり、スクリーニング検査として汗クロール試験(sweat chloride test)は有意義である。
 
症状) 特に膵外分泌腺機能不全が重要である。これにより栄養吸収障害によって発育不全をきたす。
● 新生児において胎便が粘ちょうになるため腸閉塞症を来たす(meconium ileus)
● 脂質吸収不全により脂肪便、脂溶性ビタミン吸収不全(骨がもろくなる)
● たんぱく質吸収不全により発育不良
● 鉄、葉酸の吸収不良で貧血
● 30%の患者に脂肪肝を合併し、さらには胆道閉鎖により胆汁性肝硬変をきたすこともある
● 呼吸器感染症を頻回に繰り返す。これは硬くて濃厚な喀痰を出すことにより、細菌に対しての防御能が低下するためである。特にブドウ球菌や緑膿菌感染が重要
● 治療法は確立されていない
 
異常を踏まえて問題をみていくと、
Question2の正解はCとなります。
Question3はこの中で本疾患の追加検査にもっとも役に立たないものを選択するわけですから、正解はCとなります。
Question4は診断名をきいていますので、正解はD
Question5は合併症であてはまらないものを選ぶ問題です。正解はDです。ウイルス性肝炎は合併症としては全く因果関係がありません。肝機能異常をきたしているのは、上記症状に記載されていることが原因と考えられます。
 今回の疾患以外にも日本では習わないような疾患はまだあります。よってそれらに関しては自分で学習するしかありません。ご質問があれば創医舎までお問い合わせください。
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