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USMLE(United state Medical License Examination)

 皆さんの中には米国に臨床留学したいと思っている方がいらっしゃるのではないでしょうか?実際に米国で医療行為を行うためにはライセンスが必要です。ライセンスがない場合は医療行為をまずさせてはもらえないでしょう。米国は医療訴訟大国ですので、簡単な医療行為を行うにあたっても十分な説明を患者にしなければなりません。日本も最近はその傾向になりつつはありますが、まだまだ患者に対してろくな説明もせずに傲慢な態度をとっている医師が多いような気がします。そういった医師はそのうち廃れていくことでしょう。日本も医師の数がこれからますます増加していきますのでいい加減な医師は淘汰されて当然です。
 今回はUSLMEの問題をあげてみます。
 実際の試験の問題数は非常に多く、所要時間は1問につき1分くらいです。それ以上時間をかけると時間内に問題を終わらせることは不可能です。
 では、解いてみてください。
Question1-3
A 35-year-old obese woman with a 20 pack-year history of smoking presents with the sudden onset of tachypnea, dyspnea, cough, and right-sided pleuritic chest pain 48 hours after a total hysterectomy for low-grade endometrial carcinoma. She has a low-grade fever, sinus tachycardia, and a blood pressure of 100/70 mmHg. Examination of the chest shows scattered, bilateral expiratory wheezes and dullness to percussion at the right lung base. No calf tenderness is present. A chest x-ray shows a small pleural effusion at the right lung base as well as a wedge-shaped area of hypovascularity and atelectasis in the right lower lobe. An arterial blood gas drawn with the patient breathing room air reveals a pH of 7.50(7.35-7.45), PaCO2 of 29 mmHg (normal is 33-44mmHg), a PaO2 of 70 mmHg (normal is 75-105mmHg), and a bicarbonate of 21mEq/L (normal is 22-28mEq/L).
 
1 The first step in the management of this patient is to
(A) perform a pleural tap
(B) order a perfusion scan of the lungs
(C) order a sputum for Gram’s stain, culture, and sensitivity
(D) order pulmonary function tests
(E) order a consultation for bronchoscopy
 
2 The arterial blood gases are consistent with
(A) an abnormal alveolar-arterial gradient
(B) a primary metabolic acidosis
(C) respiratory failure
(D) a compensatory respiratory alkalosis
 
3 The most likely diagnosis in this patient is
(A) atelectasis secondary to a mucous plug
(B) adult respiratory distress syndrome
(C) acute bronchial asthma
(D) a pulmonary embolus with infarction
(E) a bacterial pneumonia

 Question1-3はいかがでしょうか?問題自体はそれほど難しくないはずです。ただ、問題は当然ですがすべて英語ですので、慣れていない人は問題文を読んでいるだけで時間が過ぎてしまいます。これが日本語であったとしてもこれらを3分以内に解答するのは大変ではないでしょうか?日本の医師国家試験はこれと比較すると十分な時間があることでしょう英文読解がおぼつかない人が完答するためのコツは、すべての問題文を読むのではなくてポイントを拾いながら読んでいくことです。ここでは英語の授業ではなく、あくまでも医学の分野での試験ですのであえて英文の訳は表示しません。
 では問題の内容を見てみましょう。
 術後、突然の呼吸困難と胸痛を訴えた場合まず疑わなければならないのは肺塞栓症ですね。これはどの国でも共通です。ですから診断、治療の手順も全く同じように考えて進めていけばよいわけです。
 
 Q1はこの選択肢の中でもっとも優先されるべき検査です。この問題ではすでに胸部エックス線は行われており、所見もsmall pleural effusion at the right lung base as well as a wedge-shaped area of hypovascularity and atelectasis in the right lower lobeといっています。Westermark's signが出現していることがわかります。肺塞栓症の典型的な所見と疑われることでしょう。よって次に確定するためにはperfusion scanかpulmonary angiographyをすることです。よって答えはBとなります。難しくはないですね。
 
 Q2は動脈血液ガスを分析する内容です。肺塞栓症の場合は肺胞に酸素が入ってきても血流がないためガス交換ができませんのでalveolar-arterial gradientに異常が生じてくる(A)であることはわかると思います。PAO2の計算式(%O2×713)-(PaCO2/0.8)で求めてみてもPAO2=114mmHgとなってこの患者のPaO2が70mmHgであるため明らかにalveolar-arterial gradientは異常です。でもこのような式を用いなくてもわかるはずです。他の選択肢を見ても代謝性アシドーシス(a primary metabolic acidosis)や代償性の呼吸性アルカローシス(a compensatory respiratory alkalosis)は呼吸器の異常から酸塩基平衡が崩れているものなので外れます。また呼吸不全(respiratory failure)もPaO2の値から外れます。
 
 Q3は、もうすでに肺塞栓症を疑って方針を進めていますから(D) a pulmonary embolus with infarctionが選ばれるはずです。問題文を読んだ時点ですぐにこの疾患が浮かんでこなかった人は、日本の医師国家試験であったら選べない場合禁忌選択肢になる可能性が高いですので反省してください。
 いかがでしたでしょうか。このようにどの世界でもありふれたような症例では、英文さえ読めればそれほど日本の医師国家試験の内容と変わりはないと思います。
 しかし、人種によって特有な疾患があります。そういった疾患、つまり日本ではほとんどお目にかかれない疾患であっても米国では日常的に見られる疾患があります。そういったものは新たに勉強をしなおさなくてはなりません。
 次回はそういった問題を提示してみます。
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