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〜症候論〜 胸痛

 日頃の国家試験対策の学習については、「胃癌」、「パーキンソン病」といった個々の疾患単位、あるいは「腎臓・泌尿器」、「産科」といった分野別の学習が一般的だと思われます。これは、「縦割り」学習に相当するもので、学生の多くは試験日直前までこの学習に時間を割き、終始するのが一般的です。
 
 一方、近年の国家試験では、個々の疾患について細かな知識を尋ねる問題よりも、プライマリケア重視、実践的な知識や判断力・総合力を重視する立場から、実地臨床に即した問題が多く出題されています。また、実際の臨床現場では、個々の疾患に関する知識もさることながら、患者の「主訴・身体所見」から出発する鑑別診断を展開できる能力が必要となります。
 
 鑑別診断を展開する能力を身につけるには、個々の疾患に関する豊富な知識と現場での経験が必要です。
 
 しかし、国家試験の学習においても、日頃の「縦割り」学習に、「横断的」学習を少し取り入れることによって可能となります。学習してきた疾患の中で、同じ「症候」を呈する疾患を並べ、見比べることによって、「縦割り」学習ではみえなかった共通点、相違点に気付いたり、疾患の自分なりの見方・捉え方が確立してきます。
 
 本稿では、「主訴」の中で比較的多く、取り組みやすい「胸痛」をテーマに取上げ、「胸痛」を呈する疾患の鑑別診断について触れます。なお、個別疾患の病態生理に関しては本稿の趣旨と外れますのであまり触れないこととします。
 
1) 「胸痛」を呈する代表的疾患
2) 最初に鑑別すべき「胸痛」疾患
3) 疾患群の特徴
4) 胸痛の性状・特徴的身体所見
5) 検査
参考国家試験問題
症例1 | 症例2 | 症例3 | 症例4 | 症例5 | 症例6 | 症例7
狭心症
4-1) 労作性狭心症
4-2) 異型(安静時)狭心症
4-3) 不安定狭心症
4-4) 急性心筋梗塞
4-5) 解離性大動脈瘤
4-6) 肺塞栓・肺梗塞
4-7) 気胸

1)「胸痛」を呈する代表的疾患

「胸痛」を呈する疾患を部位別に列挙しました。
心臓・大血管系 肺・呼吸器系 消化器系 神経・筋・皮膚・その他
狭心症(安定・不安定)
急性心筋梗塞
心外膜炎
解離性大動脈瘤
肥大型心筋症
大動脈弁膜症
肺炎
胸膜炎
肺癌
肺塞栓・肺梗塞
気胸

肺高血圧症
過換気症候群
食道炎
食道癌
食道痙攣
食道破裂
胃炎
胃・十二指腸潰瘍
胃癌
胆石
胆嚢炎
膵炎
帯状疱疹
頚椎症
胸郭出口症候群
皮下気腫・縦隔気腫
肋骨骨折
骨膜炎
乳腺炎・膿瘍
心因性
 上記以外にも、マイナー(まれな)疾患を含めると数多くあります。「胸痛」一つを取り上げても「鑑別診断は大変だ」と思われた方もいるかもしれません。しかし、列挙した疾患群をよく眺めてみて下さい。「放置しておいても構わない」疾患から「緊急入院し、直ちに検査・治療を必要とする」疾患まで実に多彩であることに気づかれたはずです。
 
臨床の現場(特に外来や救急の場面)では、主訴・病歴聴取と診察所見から
(1) 緊急性の有無の判断>
(2) 診断した(疑われる)疾患の重症度の評価

をすることが重要です。
 
 その判断・評価に基づき、「直ちに入院させる必要がある」のか、「本日は検査だけしておいて、次回再診でよい」のか、「経過観察のみでよい」のか、初期対応も変わってきます。これは、鑑別すべき疾患に自分なりの重み付け(階層化)が出来ているか否かが問われます。処置・治療が同時に進行する救急の現場では特に重要となります。
 鑑別しなければならない「疾患」を絞り込むことが出来れば、必要な検査の数も減り、患者の身体的、精神的、経済的負担も少なくて済みます。

2)最初に鑑別すべき「胸痛」疾患

 表に列挙した疾患の中に、放置すると死に至る恐れのある疾患(太字)・至急治療を必要とする疾患が幾つかあります。ただし、発生頻度の少ない疾患は除外しています。
 まず、下記に挙げた疾患の鑑別から始めることになります。
 
(不安定)狭心症
急性心筋梗塞
解離性大動脈瘤
肺塞栓・肺梗塞
気胸

3)疾患群の特徴

この疾患群の特徴は何でしょうか? 疾患の捉え方により異なりますが…
 
(1)臓器別にみると
 心臓・大動脈疾患
 肺・呼吸器疾患
(2)発症経過からみると
 突然(急性)発症
(3)病態生理からみると
 血管閉塞(塞栓)→梗塞
 血管解離
 穿孔(=肺が破れる)
 
と、捉えることもできます。
 
「発症経過・様式」は確認する必要があります。
例えば
「突然生じた」
「4時間前から胸痛出現」
「約2ヶ月前から」
などです。

狭心症

4)胸痛の性状・特徴的身体所見

 同じ「胸痛」という症状でも疾患により違いがあるはずです。
 過去の国家試験を取り上げながら、疾患ごとに胸痛の性状、他の随伴する症状、特徴的な身体所見に注目してみましょう(赤字部分がポイントです)。
急性疾患ですから、意識状態、呼吸、脈拍、血圧は患者を診たときには直ちに把握するようにして下さい。

4-1)労作性狭心症

症例1
64歳の男性。約2ヶ月前から労作時に前胸部痛が生じるようになった。痛みは頚部から左肩に放散し、安静により3〜4分で消失した。専門医で十分な投薬治療を受けたが、労作時の胸痛は消失しないため来院した。この2ヶ月で胸痛発作の増悪はない。脈拍65/分、整。血圧132/78mmHg。血液所見に異常は認めない。安静時心電図は正常。(以下省略)
 
★ポイントは
労作時に胸痛出現、労作中止により数分以内に消失
放散痛:特に左下顎、左肩、左上肢へ
ニトログリセリンの有効性
です。
 
 放散痛は、狭心症、心筋梗塞などの冠動脈疾患に認められる関連症状です。

4-2)異型(安静時)狭心症

症例2
46歳の男性。前胸部痛と失神発作とを訴えて来院した。現病歴:1年前から時々圧迫感と冷汗とを伴う前胸部痛を自覚するようになった。発作の多くは真夜中から早朝にかけて出現し、5分程度で自然に消失した。胸痛と労作とに因果関係はなかった。起床後、妻と会話中、前胸部痛が出現したあと失神した。けいれんはなく5分ほどで意識は回復した。(以下省略)
 
★ポイントは
安静時(突然)発症(労作無関係)
特に、真夜中から明け方にかけて(出現時間帯が重要)
ニトログリセリンの有効性です。
 
 その他に意識消失があります。
 
 責任血管が右冠動脈である場合が多いので、房室ブロックを合併し、胸痛出現時に意識消失発作を伴うことがあります。
 
 狭心症は「安定狭心症」と「不安定狭心症」にも分類されます。狭心症の患者を診察したときは、「症状が不安定化していないかどうか」の確認が必要です。
 一例を提示します。

4-3)不安定狭心症

症例3
67歳の男性。胸痛のため来院した。動脈硬化性末梢血管障害により、大腿膝窩動脈バイパス術を4年前に受けた。2年前に胸痛があり、狭心症の診断にてニトログリセリンを処方された。10日前までは労作時胸痛を経験していなかった。この10日間に2〜3回の胸痛を認める。ニトログリセリンの舌下投与で痛みは治まるが、少しの歩行でも胸痛を来すようになり、さらに安静時にも胸痛を来すようになった。(以下省略)

 
★ポイントは
胸痛発生頻度の増加・胸痛程度の増強・持続時間延長(前出の「94F8」と比較してください)
労作時だけでなく、安静時にも出現
ニトログリセリンの有効性低下または無効
です。
 
 「不安定狭心症」は放置すると急性心筋梗塞へ移行する恐れがあるため要注意です。診断した時点で入院が必要になります。
 
 狭心症に特徴的な身体所見はありませんので、詳細な病歴聴取が重要となります。

4-4)急性心筋梗塞

症例4
52歳の男性。強い胸痛のため救急車で来院した。午前4時頃より胸部圧迫感が出現し、朝まで横になって我慢していたが次第に増強し、冷汗・嘔吐を伴うようになった。脈拍68/分,整。血圧110/80mmHg、肺野にcoarse crack1es〈水泡音〉を聴取する。(以下省略)
 
★胸痛の性状・随伴症状は狭心症とほぼ同じですが、
20分以上持続
ニトログリセリン舌下無効
という点で異なります。
 
★理学(身体)所見で注意すべきポイントは
(1) 徐脈・頻脈
(2) 血圧低下(ショック)の有無
(3) 胸部聴診:心雑音、ラ音の有無
です。
 
 心筋梗塞の診断自体はそんなに難しくはありません。しかし、急性期は合併症が問題となります(参照:2004年1月号)。ですから、身体所見をとるときは診断と同時に合併症のチェック、重症度の評価をしていく必要があります。

4-5)解離性大動脈瘤

症例5
50歳の男性。激しい胸痛を主訴として来院した。

現病歴:早朝に突然激しい胸痛と腰背部痛とを来し、軽快しないため約5時間後に救急車で来院した。2〜3分程度の意識消失発作が来院前に1回あった。

 

既往歴:5年前から170/100mmHg程度の高血圧を指摘されていた。1日20本、30年間の喫煙歴がある。従来心雑音を指摘されたことはなく、胸部X線写真で異常を指摘されたこともない。

 

現症:身長176cm、体重76kg。脈拍100/分、整。血圧、右上肢160/90mmHg。意識は清明であるが、顔面蒼白で苦悶状を呈する。皮膚は湿潤で手足に冷感がある。胸骨左縁第3肋間に最強点を有するLevine2/6度の拡張期雑音を聴取する。呼吸音は正常。上腹部は平坦で軟。肝、脾を触知しない。腹部に血管雑音を聴取しない。神経学的異常所見は認めない。(以下省略)

 
★ポイントは
(1) 高血圧の存在
(2) 上から下に移動する(腰)背部痛
(3) 意識消失
です。
 
 特に、胸痛のみならず、「上から下に切り裂かれるような移動する背部痛」という表現があれば強く疑われます。
 「意識消失」は大動脈弓部から分枝する血管の虚血または心筋虚血に伴う房室ブロックなどを示唆します。
 
 他に(4) 下肢の(一過性)麻痺や疼痛があります。
 脊髄の虚血や下肢血管の虚血を示唆します。
 
★理学(身体)所見で注意すべきポイントは
(1) 上下肢の血圧及び脈拍の左右差
(2) 頸部・腹部の血管雑音
(3) 胸部聴診:心雑音(大動脈弁閉鎖不全)の有無
です。

4-6)肺塞栓・肺梗塞

症例6
58歳の女性。3日前に子宮体癌の手術を受けた。今朝、術後はじめての歩行時に突然、胸痛と呼吸困難とが生じ、症状の増悪がみられた。身長153cm、体重66kg。呼吸数28/分。脈拍105/分、整。血圧102/62mmHg。意識は清明。血液所見:赤血球390万、Hb10.2g/dl、白血球11300。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air)pH 7.52、PO2 58.0Torr、PCO2 30.0Torr。(以下省略)
 
★確認すべきポイントはいくつかあります。
(1) 深部静脈血栓症の既往の有無
(2) 内服薬(経口避妊薬など)の有無
(3) 長期臥床または座位
(4) 悪性腫瘍や骨盤内の手術後、離床時に発症
(5) 呼吸困難
(6) 意識消失
 
 下肢静脈に血栓が生じる状況の確認が必要です。臨床症状に特異的なものはありません。
 
★理学(身体)所見で注意すべきポイントは
(1) 血圧低下の有無
(2) 頻脈
(3) 頻呼吸
(4) 肥満の有無
です。

4-7)気胸

症例7
26歳の男性、夜間に突然胸痛を生じ呼吸困難が次第に進行するため来院した。既往歴に特記すべきことはない。脈拍90/分、整。血圧132/80mmHg。意識は清明。(以下省略)

 
★ポイントは
(1) 喫煙の有無
(2) 基礎疾患の有無(反復する場合は気胸をきたす疾患)
(3) 若年者(特に男性)
(4) 女性の場合:生理、血痰や喀血の有無(月経随伴性気胸)
(5) 突然発症
(6) 胸痛側の肩、背部痛
(7) 体動・吸気にて胸痛増強
(8) 呼吸困難
です。
 
 呼吸困難は肺虚脱の程度に拠ります。
 
★ 理学(身体)所見で注意すべきポイントは
(1) 呼吸音の左右差(胸痛側で減弱)
(2) 胸部打診:鼓音(胸痛側)
などです。
 
 虚脱の程度が小さい場合は、上記の所見が得られないことがあります。

5)検査

 検査は、「まず行うべき検査」と「診断確定のための検査」とに分かれます。
 「まず行うべき検査」は「ACE」と憶えてください。
 
すなわち
(1) A:ABG = 動脈血ガス分析
(2) C:Chest X-ray = 胸部X線写真
(3) E:ECG = 心電図
です。
 
「まず行うべき検査」の典型的な検査所見を下表に挙げました。
 
  「まず行うべき検査」 「診断確定のための検査」
狭心症 胸痛出現時心電図
労作性狭心症:ST低下
安静時狭心症:ST上昇
ニトログリセリンの舌下(診断的治療)⇒胸痛消失心電図の正常化血液検査(心筋障害除外のため施行することあり
急性心筋梗塞 急性期心電図:ST上昇 血液検査(トロポニンT,CPK,CK-MBなど
解離性大動脈瘤 胸部X線写真:縦隔拡大(右第1弓、左第1弓突出等) 胸部造影CT胸部MRI検査
肺塞栓・肺梗塞 動脈血ガス分析:pH↑、PaO2↓、PaCO2↓(発症早期) 肺動脈造影肺血流シンチ
気胸 胸部X線写真:肺虚脱  
 
*「診断確定のための検査」:代表的かつ必須なものだけを挙げています。
 
 上記に挙げた疾患の中には非典型例も数多くあります。免許取得後は経験を積んで、診断の勘所を掴んでいってください。
 まずは、「胸痛」を呈する典型的な症例を手際よく診断し、適切な治療に導くことが出発点です。
 自分なりの診療パターンを確立するよう努めて下さい。

参考国家試験問題

本稿に挙げた症例1〜症例7に該当する国家試験問題は以下の通りです。
 
症例1
 64歳の男性。約2か月前から労作時に前胸部痛が生じるようになった。痛みは頸部から左肩に放散し、安静により3〜4分で消失した。専門医で十分な投薬治療を受けたが、労作時の胸痛は消失しないため来院した。この2か月で胸痛発作の増悪はない。脈拍65/分、整。血132/78mmHg。血液所見に異常は認めない。安静時心電図は正常。冠動脈造影写真(右冠動脈・第2斜位〈左前斜位〉、左冠動脈・第1斜位〈右前斜位〉)を別に示す。
 
この患者で正しいのはどれか。
 
(1) 心エコー図で左室後下壁運動の低下がみられる。
(2) 運動負荷心筋シンチグラムで左室前壁中隔に欠損像がみられる。
(3) 運動負荷心電図でST低下がみられる。
(4) 経皮経管的冠動脈形成術〈PTCA〉の適応がある。
(5) 緊急冠動脈バイパス術〈CABG〉の適応がある。
a (1)、(2)、(3)   b (1)、(2)、(5)   c (1)、(4)、(5)
d (2)、(3)、(4)   e (3)、(4)、(5)
 
症例2
46歳の男性。前胸部痛と失神発作とを訴えて来院した。
 
現病歴:1年前から時々圧迫感と冷汗とを伴う前胸部痛を自覚するようになった。発作の多くは真夜中から早朝にかけて出現し、5分程度で自然に消失した。胸痛と労作とに因果関係はなかった。起床後、妻と会話中、前胸部痛が出現したあと失神した。けいれんはなく5分ほどで意識は回復した。
 
既往歴:5年前に高血圧、高脂血症および耐糖能異常を指摘されたが、特に治療は行わなかった。
 
嗜 好:日本酒3合/日。喫煙40本/日を26年間。
 
現 症:身長166cm、体重78kg。体温36.5℃。呼吸数20/分。脈拍72/分、整。血圧150/98mmHg。眼瞼結膜に貧血なく、眼球結膜に黄疸を認めない。心・肺に雑音を聴取しない。肝・脾を触知せず、浮腫を認めない。神経学的異常はない。
 
検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球489万、Ht 45%、白血球8900、血小板29万。血清生化学所見:GOT 31単位(基準40以下)、GPT 34単位(基準35以下)、CK 35単位(基準10〜40)、LDH 343単位(基準176〜353)、Na 137mEq/l、K 3.6mEq/l、Cl 104mEq/l、空腹時血糖140mg/dl、ヘモグロビンA 1C 7.2%(基準4.0〜6.0)、総コレステロール260mg/dl、トリグリセライド220mg/dl(基準50〜130)。
 
入院2日目の早朝に前胸部痛が出現した。そのときの心電図(A)と症状が消失した後の心電図(B)とを別に示す。入院5日目に施行した冠動脈内アセチルコリン負荷時の右冠動脈造影写真(負荷前;C、負荷後;D)を別に示す。
 

 
症例2-1 発作時の心電図で認められる異常はどれか。2つ選べ。
a 房室伝導遅延
b STレベルの偏位
c 心室固有調律
d 異常Q波
e 左軸偏位
 
症例2-2 失神の原因として最も可能性が高いのはどれか。
a 急性心筋梗塞
b Adams-Stokes症候群
c 一過性脳虚血発作
d 起立性低血圧
e てんかん
 
症例2-3 この患者に適切な治療薬はどれか。2つ選べ。
a 亜硝酸薬
b β受容体遮断薬
c ジギタリス
d プロカインアミド
e カルシウム拮抗薬
 
症例3
67歳の男性。胸痛のため来院した。動脈硬化性末梢血管障害により、大腿膝窩動脈バイパス術を4年前に受けた。2年前に胸痛があり、狭心症の診断にてニトログリセリンを処方された。10日前までは労作時胸痛を経験していなかった。この10日間に2〜3回の胸痛を認める。ニトログリセリンの舌下投与で痛みは治まるが、少しの歩行でも胸痛を来すようになり、さらに安静時にも胸痛を来すようになった。心電図にて陰性T波を認める。
適切な処置はどれか。
(1) 入 院
(2) 経過観察
(3) 運動負荷試験
(4) 緊急バイパス手術
(5) 緊急冠動脈造影検査
a (1)、(2)  b (1)、(5)  c (2)、(3)  d (3)、(4)  e (4)、(5)
 
症例4
52歳の男性。強い胸痛のため救急車で来院した。午前4時頃より胸部圧迫感が出現し、朝まで横になって我慢していたが次第に増強し、冷汗、嘔吐を伴うようになった。脈拍68/分、整。血圧110/80mmHg、肺野にcoarse crackles<水泡音>を聴取する。来院時の心電図を別に示す。
診断に有用な検査はどれか。
a 血清クレアチンキナーゼ
b 呼吸機能
c 運動負荷心電図
d 上部消化管内視鏡
e 胸部造影エックス線CT
 

 
症例5
50歳の男性。激しい胸痛を主訴として来院した。
 
現病歴:早朝に突然激しい胸痛と腰背部痛とを来し、軽快しないため約5時間後に救急車で来院した。2〜3分程度の意識消失発作が来院前に1回あった。
 
既往歴:5年前から170/100mmHg程度の高血圧を指摘されていたが、症状がないため放置していた。また、高コレステロール血症も指摘されていた。1日20本、30年間の喫煙歴がある。従来心雑音を指摘されたことはなく、胸部X線写真で異常を指摘されたこともない。
 
現 症:身長176cm、体重76kg。脈拍110/分、整。血圧、右上肢160/90mmHg。意識は清明であるが、顔面蒼白で苦悶状を呈する。皮膚は湿潤で手足に冷感がある。胸骨左縁第3肋骨間に最強点を有するLevine2/6度の拡張期雑音を聴取する。呼吸音は正常。上腹部は平坦で軟。肝、脾を触知しない。腹部に血管雑音を聴取しない。神経学的異常所見は認めない。
 
検査所見:血液所見:赤血球420万、Hb 13.8g/dl、Ht 38%、白血球10000、血小板25万。血清生化学所見:クレアチニン1.0 mg/dl、GOT 60単位(正常40以下)、GPT 32単位(正常35以下)、CK 120単位(正常0〜40)、Na 138mEq/l、K 4.1mEq/l、Cl 99mEq/l。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.44、PO2 72mmHg、PCO2 32mmHg。眼底に乳頭浮腫は認めない。来院時に記録した心電図(A)を別に示す。
 

 
症例5-1 この症例の心電図(A)で考えられるのはどれか。
a 心膜炎
b 心筋炎
c 急性心筋梗塞
d 僧帽弁腱索断裂
e 肺塞栓
 
症例5-2 その後に現像されてきた胸部X線写真(B)を示す。
次に行うべき検査はどれか。
(1) 心エコー検査
(2) 胸部X線造影CT
(3) 心筋シンチグラフィ
(4) 肺シンチグラフィ
(5) 大動脈造影
a (1)、(2)、(3)   b (1)、(2)、(5)   c (1)、(4)、(5)
d (2)、(3)、(4)   e (3)、(4)、(5)
 

 
症例5-3 この患者に合併しやすいのはどれか。
(1) 心タンポナーデ
(2) 胸水貯留
(3) 緊張性気胸
(4) 肺高血圧
(5) 下肢虚血
a (1)、(2)、(3)   b (1)、(2)、(5)   c (1)、(4)、(5)
d (2)、(3)、(4)   e (3)、(4)、(5)
 
症例6
58歳の女性。3日前に子宮体癌の手術を受けた。今朝、術後はじめての歩行時に突然、胸痛と呼吸困難とが生じ、症状の増悪がみられた。身長153cm、体重66kg。呼吸数28/分。脈拍105/分、整。血圧102/62mmHg。意識は清明。血液所見:赤血球390万、Hb 10.2g/dl、白血球11300。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air)pH 7.52、PO2 58.0 Torr、PCO2 30.0 Torr。肺動脈ディジタルサブトラクション血管造影〈DSA〉写真を別に示す。
適切な処置はどれか。
(1) 酸素吸入
(2) 輸 血
(3) 副腎皮質ステロイド薬投与
(4) 経皮経管的血管形成術
(5) 血栓溶解療法
a (1)、(2)  b (1)、(5)  c (2)、(3)  d (3)、(4)  e (4)、(5)
 

 
症例7
26歳の男性。夜間に突然胸痛を生じ呼吸困難が次第に進行するため来院した。既往歴に特記すべきことはない。脈拍90/分、整。血圧132/80mmHg。意識は清明。胸部X線写真を別に示す。
この患者に行うべき処置はどれか。
a 気管内挿管
b 気管支鏡
c 胸腔鏡
d 胸腔ドレナージ
e 開胸手術
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