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画像診断

医学生の殆どがたいてい躓く分野がこの画像を見て疾患を検討することです。ベッドサイドで画像を提示するとたいていの学生がシャーカステンの前で固まっている光景が目に浮かびます。それはある意味いたしかたのないことかもしれません。とういのは、医学生は画像を見る機会が極端に少ないからです。一般の放射線診断医は1日に100例以上の画像を読影しています。医学生は1ヶ月に数例程度でしょう。こんな数で画像診断しろというのが不可能な話かもしれません。とにかく画像診断は慣れです。正常例から異常例まで数多く見ることが大切です。決して特殊な能力を必要とするものではありません。
それではいくつかの画像を提示します。何の疾患が考えられるかを検討してみてください。

症例 1

50歳男性。胸部異常陰影を指摘された。胸部単純X線(症例1a)、胸部CT(症例1b,c)を示す。
読影のポイント:肺外か肺内かどちらの病変か鑑別できますか?

<解答>肺外病変(脂肪腫疑い)
胸部X線:右下肺野に径4cm程度の淡い濃度上昇域がある。肺血管影や、右横隔膜、肋骨との境界は明瞭。腫瘤影の上部。内側の境界は明瞭だが、下部、外側の境界は不明瞭。腫瘤影の上部、内側については辺縁は平滑。明らかなnotchやspiculationは認められない。また内部に明らかな石灰化も認められない。大動脈弓に石灰化(+)、右肺尖部に索状影(+)。
 
胸部CT:縦隔条件で右肺中葉腹側のレベルで胸膜に 接する形で脂肪の濃度のmass lesionを認める。内部の濃度は均一ではないがいずれも脂肪の濃度である。辺縁の境界は明瞭、胸膜 側に広く接しており、立ち上がりはなだらかである。

症例 2

30歳男性。20歳の頃より手指振戦が出現。以後内科にて外来で経過観察されていた。
今回歩行障害が出現してきたため頭部MRIを施行した。T1WI(症例2a)、T2WI(症例2b)を示す。
読影のポイント:MRIで描出される組織の信号の特徴は理解していますか?

<解答>Wilson病
MRI:両側基底核に、T2WIで著明な低信号を対称性に認め、微量金属沈着が考えられる。
 
両側大脳基底核がT2強調像で高信号を示す疾患としては、急性中毒(CO,メチルアルコール、青酸、硫化水素)、低酸素血症、日本脳炎、ヘルペス脳炎、ミトコンドリア脳筋症(Leigh病)、extrapontine myelinolysisなどが挙げられるが、いずれも現病歴、臨床症状や血液生化学検査所見などを参考にすることで、ある程度鑑別は可能である。

症例 3

26歳女性。反復する腹痛にて来院。幼少時より腹痛を繰り返すことが多かった。
今回、エコーにて肝内に腫瘤を認めたため精査にて腹部造影CT、ERCPを施行した。
CT(症例3a,b,c)とERCP(症例3d)を示す。
読影のポイント:肝内の病変なのか肝外の病変なのかの鑑別はできますか?

<解答>先天性胆道拡張症
腹部CT:肝門部で胆嚢に接しwater densityを示す嚢胞状の構造物がみられる。肝両葉に数珠状のcysticな構造物を認め、拡張した肝内胆管と思われる。また、これと連続してCBDも著明に拡張している。これらのcysticなlesionはenhanceされない。なお、GBは収縮している。
 
ERCP:CBD〜肝内胆管の著明な拡張を認める。また、MPD〜CBDの合流異常が見られる。

症例 4

15歳男性。急激な腹痛にて来院した。腹部CT(症例4a,b)を示す。
読影のポイント:腹痛となるような病変を画像上発見できますか?

<解答>急性虫垂炎
腹部CT:虫垂が腫大し、内部に液貯留、複数の虫垂石を認め、虫垂炎の所見である。明らかな周囲への炎症の波及は見られない。ダグラス窩に少量の腹水を認める。

症例 5

50歳女性。全身倦怠感、夜間発汗を認め、微熱も出現。右腋窩リンパ節腫脹も自覚した。
腹部CT(症例5a)とGaシンチ(症例5b)を示す。
読影のポイント:シンチの読影はできますか?

<解答>悪性リンパ腫
腹部CT:脾臓は著明に腫大しており、一部は腹壁の正中線を越え、下部は第4腰椎まで達しており、上下径は約20cmである。腹部大動脈、左腎、膵臓など腹腔内臓器を右方へ圧排し、左腎には変形が見られる。内部には、ほぼ均一でやや壁不整な類円形を呈するlow density massが多数存在し、最大のもので前後径約8cm,上下径約13cmを呈する。
脾の背側に径約6cm の densityのかなり低いareaがみられ、脾の被膜下血腫や梗塞が考えられる。胃噴門部、肝門部、傍大動脈領域に、大小不同のmass lesionを認め、リンパ節腫脹と考えられる。
 
肝臓S6に2ヶ所、small low density areaがあり、cystが疑われる。 Gaシンチ:大小不同の結節状陰影が両側、散布性に認められる。小結節の分布は、個々の結節の間隔が一様であり、いわゆる小葉中心性の分布を示しているものが多いが、典型的ではない。

いかがでしたでしょうか?やはり医学生には難しく感じるかもしれません。でもこれは慣れることが大切であり、特別な才能で読影をするのではないということを意識して勉強してください。
画像診断に関らず、臨床医学全般に言えることは習うより慣れろと言ったほうが妥当かもしれません。机上で基本的な知識を身につけたらあとは実践するまでです。いくら画像のサインを机上のみで勉強しても、実際に画像に触れない限りいつまでたっても画像診断はできるようにはなりません。
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