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白血病の診断療法について

汎血球減少を見つけたときには、白血病、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、悪性貧血、発作性夜間血色素尿症の5疾患をすぐに挙げられるようにしておきましょう。この中でも最重要なのが白血病、再生不良性貧血ですが、骨髄穿刺をする前にほかの疾患を除外するため、ビタミンB12.葉酸の測定、Hamテスト.砂糖水テスト.赤血球表面DAF抗原、抗核抗体などを調べておきます。
 
次に骨髄穿刺を行うことになります。骨髄所見は、色々な疾患に色々な所見があり、投げ出したくなるところですが、心配は無用です。骨髄を見て考えなければならないのは、「白血病かどうか?再生不良性貧血かどうか?」この2点だけです。
 
正常骨髄像では、赤芽球系、骨髄球系、巨核球系の細胞が、まったく混在した状態で存在しています。ところが、白血病では、均一な癌細胞だけが、びっしりとつまった状態です。細胞は1種類しかないのです。正常骨髄を見て、「これが後骨髄球で、これが正染性赤芽球で、・・・」などと悩む必要もありません。ある意味非常に簡単なのです。
 
再生不良性貧血の場合はもっと簡単で、骨髄に造血細胞が無く、リンパ球と赤血球だけです。ひどくなると脂肪組織だけがずるずると引けてきます。「手技的に、まずかったのでは?」と思ってしまい、骨髄生検やMRIへと進むことになります。
 
一般内科では、血球減少が白血病によるものか、再生不良性貧血によるものか、あるいはそれ以外の何かか、これだけ分かれば十分です。あとは、専門医の領域です。
 
さて、白血病だと分かったとします。次に大事なのは、リンパ性か骨髄性かという点です。なぜ重要かというと、使用する抗がん剤がまったく違うことと、生命予後が全く違うためです。リンパ性はビンクリスチン中心とした治療を行いますが、5生率は25%くらいのものです。骨髄性の治療の中心はAra-Cで、5生率も50%ほどです。(ちなみに、小児白血病の予後はまったく逆です。)この二つの鑑別に用いるのが、ペルオキシダ-ゼ染色です。顆粒球系の消化酵素を染め、リンパ球系には染まりません。PO染色陽性か陰性かで、その患者のおよその生命予後がきまるといっても過言ではない重要な検査なのです。
 
では、PO陽性で、骨髄性白血病と診断したとします。(PO陽性白血病細胞が全体の5%以上ならAMLと考えます。)今度はM1〜M7までの病型診断になるわけですが、とにかく、国家試験でおなじみのM3、前骨髄球性白血病を見ただけでわかるようにしましょう。大型の細胞で、ダンベル状の核があり、アズ-ル顆粒がぎっちりと詰まっています。アズ-ル顆粒は集合して松葉状のアウエル小体となり、核の上にも乗った像が見えます。M3は、DICを合併する点と分化誘導療法を行うという点で、他とは際立った違いがあります。
 
あとはオマケ程度と思ってください。M1.M2はリンパ球と似たきれいな均一の細胞からなります。M4.M5は単球系の細胞で、マクロファージを思わせるアメーバ様の細胞です。M6は赤芽球ばかりのなかにポツンポツンと白血病細胞が点在しています。M7は血小板系です。
 
はっきりいって、M3以外は、何年間も夜中までオーベンとともに顕微鏡をのぞいているような生活をしないと見ただけで診断するのは無理なのです。(また、そういった経験の無い医者に、白血病です、などと診断をつけられても困ります。)国試でも、そこは心得ており、M4、M5ではエステラーゼ染色・歯肉肥厚、M6ではPAS染色と、必ずキーワードがついているので安心して良いと思います。
 
現場で、意外と重要なのが染色体検査です。M2の(8、21)転座、M3の(15、17)転座、M4Eoのinv16、などは有名ですし、それ以外の染色体異常であっても、たとえばサブクリニカルな状態で白血病の再発を検出できることもあるのです。
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