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消化器関連の問題

あっという間に夏休みは終わってしまいました。色々計画をたてたけど、気がついたら夏休みは終わってしまっていたなどという人もいるのではないでしょうか? 国家試験の直前になって慌てふためくという事がないように、今から着実に国家試験に向けた体制を整えておきましょう。今回は、消化器関連の問題を解いてみましょう。

1. 胸部中部食道癌の根治手術について正しいのはどれか。

 (1) 腹腔内リンパ節の郭清が必要である。
 (2) 左開胸で行うことが多い。
 (3) 再建臓器には空腸を用いることが多い。
 (4) 再建経路は後縦隔経路が最短距離である。
 (5) 術後長期の嗄声は反回神経損傷による。

解答選択
a (1)(2)(3)
b (1)(2)(5)
c (1)(4)(5)
d (2)(3)(4)
e (3)(4)(5)

2. 食道癌が直接浸潤しやすいのはどれか。

 (1) 下行大動脈
 (2) 肺動脈
 (3) 上大静脈
 (4) 肺静脈
 (5) 気管

解答選択
a (1)(2)(3)
b (1)(2)(5)
c (1)(4)(5)
d (2)(3)(4)
e (3)(4)(5)

3. 十二指腸潰瘍について正しいのはどれか。

 (1) 下行脚に発生しやすい。
 (2) 胃潰瘍より高齢者に多い。
 (3) 胃液は胃潰瘍より高酸である。
 (4) 再発防止にヘリコバクター・ピロリの除菌が有用である。
 (5) 高頻度に萎縮性胃炎がみられる。

解答選択
a (1)(2)
b (1)(5)
c (2)(3)
d (3)(4)
e (4)(5)

4. 十二指腸潰瘍について正しいのはどれか。

 a 下血より吐血が多い。
 b 球部大彎側が好発部位である。
 c 血清ガストリン値が高い。
 d 血中ペプシノゲンI値が高い。
 e 胃潰瘍より再発率は低い。

解答選択
a
b
c
d
e


解説

食道癌に関する問題2問、十二指腸潰瘍に関する問題2問を提示してみました。いかがでしたでしょう。たいていの人は、1と3はあまり迷わずに解けた人が多いのではないでしょうか。
正解は、 1. c 3. d です。簡単に何が間違っているかと言うと、1の(2)は右開胸で行う方が術野が広くとれること、(3)の再建臓器は胃か結腸を用いるのが一般です。3は(1)病変は球部前壁に多いこと、(2)若年者に多いこと、(5)高酸が原因なので低酸となる萎縮性胃炎は考えにくいことで答えが比較的簡単に導き出せます。もし、現時点でこの2問がさっぱり分からなかった人は相当勉強しなければならないと反省してください。というのは、この2問は正答率が80%を超える問題だからです。つまり誰でも正解できる問題は決して落としてはいけません。
問題は2と4です。現時点でこれらが正解だった人は、かなり実力があると思っていただいて結構です。ただし偶然正解だった人は除きます。まずは2から見ていきましょう。
 
2. 食道癌が直接浸潤しやすい臓器は、食道と隣接している臓器です。この問題は解剖を性格に分かっていないと迷うものです。殆どの人は大動脈と気管は選べたと思います。この2つは直接浸潤の臓器として代表的なものです。迷った人は肺動脈か肺静脈のどちらかではないでしょうか。正解はcです。以下の図をみてください。(図挿入)
 
心臓を後面からみたものです。肺静脈の方が肺動脈よりも背面に位置しているのが分かります。つまり、肺静脈の方が食道に接する面が多いというのが分かります。この辺が分かっていた人はそうはいないはずです。では、実際のところ直接浸潤の比率は、大動脈と気管・気管支で60%以上に達します。その他肺、心嚢、胸管、甲状腺、肝左葉、反回神経などがあり、肺静脈に至っては1%未満です。浸潤しやすいというよりも、浸潤することがあるといったほうが妥当でしょう。まさにクイズに近い問題となっています。
 
3. 十二指腸潰瘍は、球部前壁に生じやすいもので、bの大彎側ではありません。また、幽門輪よりも肛門側にできるため、aでいう吐血よりも下血が多くなります。胃潰瘍に比べ、本疾患は高酸によるのが原因でなおかつヘリコバクター・ピロリ感染との関係が濃厚であるため、酸によってと除菌不十分の場合は胃潰瘍より高率に再発します(eの選択肢)。さらに、高酸であるがゆえに主細胞の活性が促され、dでいう血中ペプシノゲンI値は高くなります。cのガストリンですが、これにひっかかった人は多いのではないでしょうか。ガストリンは食後分泌が増大しますが、空腹時は正常値です。本疾患は酸とガストリンとのフィードバック機構が壊れていると考えられています。よってこの問題の正解はdとなります。ただ、cの選択肢も食後となると正解となります。引っ掛け問題です。不正解だった人はaかcを選んだ人が多かったのではないでしょうか。
 
 以上、問題を振り返ってみると、1、3は正解率80%以上、2、4は正解率40%未満です。前者は基本的なポイントをおさえておけば十分解けるものです。後者のような問題に出くわしたときはどうするかというと、全く検討がつかないときはもう闇雲にマークして気持ちを切り替えて次に進むのが鉄則です。いつまでも時間をかけて悩んでいると1、3のような問題を解けずに時間切れになります。何も国家試験は満点を取らなくても合格できるわけですので、誰でも解けるような問題を落とさないことです。
 この当たり前のようなことは本番になると結構できないのが現状です。どうするかはできるだけ多くの問題に解きなれて、問題から疾患に対しての病態を理解していくことがよい学習法だと思います。暗記しなければならないものは直前にまとめておき、現時点では問題をそっくり覚えようとせず問題から病態を把握する学習を心がけてください。
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