ドクターライフプラン

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血液疾患 vW病

平成16年春より新医師臨床研修制度が施行されます。この変革に伴い多くの医学生達がこれまでの習慣的な思想を捨て、来るべき新制度に対して行動を求められています。また、臨床実習開始前の全国共用試験(CBT・OSCE)の導入が予定されている中で、従来とは異なり早い段階からの医学生の基本的医学知識や技能の向上が求められるのは必至です。Medicos Fieldではこの様な医学生を取り巻く環境の変化、国家試験対策など多方面から医学生をバックアップすることを目的として情報提供してまいります。今回は第一弾として現在、医学生が抱いている素朴な疑問・質問や今さら人に聞けない質問などを最前線で活躍するドクター達の知見からアドバイスさせていただきました。今後の活動の参考にしてみてください。

複雑な止血・凝固異常を理解するには、W病を中心に学習するといい。
最初に、血小板には、粘着・凝集、2つの異なった機能があることを思い出しておこう。

1. 粘着は血小板上のGP-1と、内皮下に露出したW因子が結合することで起こる(*1)。
2. つぎに血小板のGP-2同士が、これまたW因子を介して互いに結合することで血小板同士の凝集が起こってくる(*2)。
3. 続いて血小板膜上で凝固反応が起こる(*3)。

凝固因子の中で最も量が多いのは外因系のトリガーである第7因子だが、凝固系全体の律速因子は、血友病で有名な第8因子である。そして、W因子は第8因子を安定化させる作用をもっている。安定化といっても、W因子存在下ではその酵素反応が250倍に跳ね上がるというから、実質上、重要な補酵素みたいなものといえる。つまり、W因子とは血小板〜組織〜凝固因子をつなぐ糊ということだ。
さらに近年、W因子欠乏症(W病)が、日本人に意外と多い疾患であることが分かってきた。普段無症状だが、分娩後や外傷の際に止血困難となって気付かれる事が多い。
また、先天的に巨大なW因子のできてしまうのが、TTPである。感染症を契機に発症するが、巨大W因子によって過凝固となり血管内血栓をつくってしまう病気である(*4)。
TTPは多い疾患ではないが、これとほぼ同じ疾患と考えられていた溶血性尿毒症症候群はO-157以来、最重要の食中毒疾患となっている。試験にも確実に狙われる疾患である。
ちなみにHUSではW因子は関係なく、ベロ毒素が腎血管に結合するのが原因で、精神症状より腎障害が強いのが特徴だ。
以上、ここに挙げたW因子関連の疾患6つ(bernard-souriel症候群、血小板無力症、血友病、W病、TTP、HUS)を説明できるようになれば、止血凝固異常は、ほぼおしまいである。

他の科目に関しても一般問題で基本的な知識を養っていくことは非常に大切と思われます。基本的知識は、大まかな流れは今のうちに繰り返して整理しておき、細かい点は試験直前に見直せる状態を作っておくことが大切です。直前に慌てふためいて0から始めると、まずよい結果は期待できないでしょう。ですから、現段階では是非一般問題を多く解いて知識を増やすことに専念してください。それがある程度達すれば、臨床応用問題は決して難しくなく、解き慣れれば短期間で学習可能です。
(*1)GP-1欠損症がbernard-souriel症候群であり、リストセチン凝集能低下が有名。
(*2)GP-2の欠損症が血小板無力症である。凝集は、物理的な粘着と異なり、様々な化学物質によって活性が強くなる。ADP凝集、エピネフリン凝集能でその機能を見る所以だ。また、種々の抗血小板剤も、この凝集機能を抑える薬である。
(*3)凝固カスケードは、語呂合わせでもよいから内因、外因系確実に覚えておこう。
面倒なようだが、覚えているだけで解ける問題、頻出している。
(*4)TTPの5徴(溶血、血小板減少、熱発、腎障害、精神症状)も必ず覚えておこう。
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