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ハッピー♡マッチ
崎長 ライト  編集:杜 美樹  挿絵:羽野 ねねこ
第三部 出会いと別れ 春 第三話 作業員 (BY つばき)
2017.01.20


一、決められた曜日の
二、決められた時間に
三、決められたものを
四、決められた方法で
五、決められた場所へ

 その人は、繰り返しそうつぶやいていました。
つぶやくと言うより、音程というか、節をつけてました。怪しい。
薄い緑の帽子に、帽子からはみ出た茶色の髪、水中眼鏡のような大きなゴーグルに、ミッキーマウスのマスク、ステッカーの沢山ついた青のつなぎの作業服を着て、猫背になって、イヤホンをつけて、手袋つけて、体を揺らしながら、ゴミの分別をしています。格好は怪しいですが、よく見ると、ひとつひとつ確認しながら真剣に分別をしているようです。
時々、エイィーとかオーケイとかベイビーとか合の手(?)を入れながら、ピースサインとかピストルサインをして、調子を取っています。
 ふむふむ、これは、ラッパ―といわれる人種ですね。
ちなみに、関ジャニにもラップの曲が意外とあって、我が愛するヤス君もラップ担当経験があるんですよ。意外でしょう? うふぅ。ヤス君ほどではないですが、彼のラップも悪くはありません。
まあまあ。

 ベイビー、い〜ち、決められた曜日に、に〜、決められた時間にさ〜ん、エイィー、さ〜ん、決められたものをし〜し〜、決めら〜れた方法で、で、GO! GO! 決・め・ら・れた場所へ、GO、GO、GO〜!

 彼はガーベジ・ステーション(いわゆるゴミ集積所)の中で、『ゴミ出し五原則』のオリジナルラップを刻んでいたのです。
一月初旬のある金曜日の夜に。

 あたしが、その変なご機嫌な若い作業員に話しかけたのは、あたし自身もご機嫌だったからです。
 だって、五年生から六年生へ上がるための試験(アドバンス・オスキーという実地模擬試験みたいなー)の問題がほぼ去年と同じになると判明したからです。アオイちゃんたちの試験対策委員が頑張ってくれて、そういう情報がラインで流れてきました。
 ラッキー!
 まあ、この試験で留年はないという規定(つまり、受かるまで再試が繰り返される)にはなっているのですが、それでも、試験は試験ですから。試験は楽勝!
 その夜、超ご機嫌なあたしでした。だから、部屋の模様替えをして、掃除をしたのです。掃除の後に、ふたつの大きなゴミ袋をかかえて階段を下りてきたとき、その変わったラップ系作業員と出会ったのです。

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著者プロフィール

崎長 ライト
崎長 ライト
長崎大学病院 医療教育開発センター長 浜田久之(内科医)
長崎県生まれ。

医者になりたかったのに、なぜか高校時代は文科系で、読書好きのラガーマン。浪人、大学中退、放浪、バーテンダー…、予備校講師を経てやっと医大生。

医学生時代は、学習塾経営。学生結婚しました〜。学習塾は大繁盛しバブル時代を謳歌しましたが、自分の成績は悪く、最後の模試は105人中100番(汗)。いい仲間のおかげで助けられて、何とか卒業しました(涙)。
初期研修は大学病院で、その後様々な地域の病院で一生懸命働きました、勉強もしました。引っ越し回数20回以上!市中病院の総合診療科病棟の立ち上げ後、トロント大学に家庭医学と医学教育を2年間学びました。これが、人生の転機となりました。 研修医教育(≒マッチング業界)歴は、15年くらいです。ほぼ毎日、1年次研修医の外来研修を熱血指導(半分嫌がられてますが…)しています!

資格:博士(医学)、博士(教育)、消化器病専門医、プライマリケア学会専門医など
趣味:思案橋でハイボールを飲みながら、世間話。特に、ジャニーズや芸能ネタは好きです(笑)。
小説:『小さな世界平和』 (※長崎新聞社新春小説大賞佳作)
   『フルマッチ』

著者より一言:アクセスしてくれて、本当にありがとうございます!超〜、感謝です。
       ハッピーの積み重ねを感じる力が大事(長崎大学病院 医療教育開発センターWEBサイトより)