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ハッピー♡マッチ
崎長 ライト  編集:杜 美樹  挿絵:羽野 ねねこ
第二部 実家 冬 第三話 パパと父さん(BY つばき)
2016.11.11

 習志野の実家に久しぶり帰った夜、あたし達は、かなり酔っていました。パパはオペラ椿姫のCDをかけて、かなりご機嫌でした。
「実は、パパと母さんが出会ったのは、つばきのおかげなんだよ」
「はいはいはい、パパ、その話、九十八回目!」
 あたしも、とても気分が良く、ついついパパのオハコを奪ってしまいました。

お母さんが、保健師になるために専門学校へ通っていた頃の話です。その学校の事務員のパパが、掲示板に某音楽大学の学園祭のポスターを張っていた時のことです。お母さんが通りかかったそうです。お母さんは、当時バツイチ&子持ち(あたし)のアラサーでした。彼女はそのポスターを見て「つばき…」と何気なくつぶやいたそうです。もちろん、ポスターに『椿姫』の文字があったからだと思いますが、詳細を覚えてないそうです。
「つばき…」、それを聞いたパパが、「椿姫、好きなんですか?」と、話しかけたところから、付き合いが始まった、ということです。パパの解釈では、娘の名が「つばき」だから、お母さんはつぶやいた、私が花子とか昭和的名前だったり、希星と書いてキララと読ませる名前だったら、お母さんとは結婚してなかった…ということらしいです。

「でー、でしょ? パパ。あ、あたし、もう暗記してるから。おかわり、もう一杯!」
 パパは、ろれつの回らないあたしをみて大笑いしてくれますが、お母さんはまた、チクリと刺します。
「あんたねー、飲みすぎ。外でも、こんな感じで飲んでないでしょうね。嫁に行けないわよ」
 いや、いや、外では絶対のみません。自分でもわかってますし。アオイちゃんとの家飲みの時だけ。実は、ここだけの話、アオイちゃんは、お酒に弱い。ビール一本で酔います。あたしがアオイちゃんに勝てるのはお酒だけ? ウアハハー。
「嫁なんて行くか! ヤス君がいるのに」
「二十四にもなって、妄想ばかり。あんた医者になる前に、医者にかかった方がいいんじゃない?」
「はい、あたし、アオイちゃんからパラノイアって言われます」
「パラグアイ?」
「バイアグラ?」
「何いってるのよ、お父さん、娘の前で」
「えっ、パパ、バイアグラ、使ってるのー。やだー」
「何、なんなの、このバカ娘」
「バカ、バカ、いわないでよ、あたしいちおう医大生なんだぞ」
「何を威張ってるのよ、つばき。私なんか、二十五であんたを産んだんだよ」
「えー、来年、あたし二十〜五。子供産むんだー。想像できないわー。えー、どんな人だったのよ、彼は」
 勢いで言ってしまいました。

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著者プロフィール

崎長 ライト
崎長 ライト
長崎大学病院 医療教育開発センター長 浜田久之(内科医)
長崎県生まれ。

医者になりたかったのに、なぜか高校時代は文科系で、読書好きのラガーマン。浪人、大学中退、放浪、バーテンダー…、予備校講師を経てやっと医大生。

医学生時代は、学習塾経営。学生結婚しました〜。学習塾は大繁盛しバブル時代を謳歌しましたが、自分の成績は悪く、最後の模試は105人中100番(汗)。いい仲間のおかげで助けられて、何とか卒業しました(涙)。
初期研修は大学病院で、その後様々な地域の病院で一生懸命働きました、勉強もしました。引っ越し回数20回以上!市中病院の総合診療科病棟の立ち上げ後、トロント大学に家庭医学と医学教育を2年間学びました。これが、人生の転機となりました。 研修医教育(≒マッチング業界)歴は、15年くらいです。ほぼ毎日、1年次研修医の外来研修を熱血指導(半分嫌がられてますが…)しています!

資格:博士(医学)、博士(教育)、消化器病専門医、プライマリケア学会専門医など
趣味:思案橋でハイボールを飲みながら、世間話。特に、ジャニーズや芸能ネタは好きです(笑)。
小説:『小さな世界平和』 (※長崎新聞社新春小説大賞佳作)
   『フルマッチ』

著者より一言:アクセスしてくれて、本当にありがとうございます!超〜、感謝です。
       ハッピーの積み重ねを感じる力が大事(長崎大学病院 医療教育開発センターWEBサイトより)